そうか。
亡くなってしまったのか。
年齢からして天寿であったのだろうし、
とても覚悟の決まったひとだったから
(もし倒れても救急車を呼ばないでほしい、と
いっさいの延命治療はしないでほしい、と
家族に頼んでいたそうだ。周囲がそれを叶えるのは
とても難しいが、たぶん、叶えられたのだ)
だから、そういたましくはない。
だが心細く思う。
この先はコンドウ無しで行けねばならぬ。
現代医療の「過剰」部分と「ウソ」についての
内部告発をやり続けたひとだった。
菊池寛賞を受賞した著作では
「医者をやって痛感するのは、治せないということ。
治るものは勝手に治るし、治らないものは治らない」
というようなことを書いていた。
これを認めるのはさぞや大変だっただろう。
だって医者なんだから。
原子力科学者だった武田邦彦氏が転向したのと同様
全ての人脈と経歴を捨てる覚悟をしたはずだ。
しかし「だからこそ」多くの人を救えた。
両者とも。
不思議な運命だなあ、とハタから見てても思う。
しかしこんな生き方ができる人はそうそういない。
養老孟司氏も認めていたように彼は「豪傑」だった。
そして
病気は治るのであって、治すものではない。
地球は回るのであって、回すものではない。
著作内容については、また今度。
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